デジタルサイネージやLEDビジョンを導入する際、本体価格と同じくらい重要になるのが「設置工事費(施工費)」です。壁面への取り付け、天井からの吊り下げ、自立スタンドの設置など、設置方法や環境によってこの費用は大きく変動します。また、設置工事には本体の取り付け作業だけでなく、電気工事や配線処理、壁面補強、さらには高所作業や足場を使用する工事が必要になるケースも少なくありません。特に、屋外サイネージや大型LEDビジョンでは、安全性と耐久性を確保するための特殊な施工が求められ、工事内容が複雑になる傾向があります。
前回の【価格相場編】では、デジタルサイネージ・LEDビジョンの本体価格についてご紹介しました。今回は、導入時に発生する「設置工事費(施工費)」について、屋内・屋外の設置環境や施工内容ごとの費用相場を分かりやすく解説します。導入予算の検討や、見積もりを比較する際の参考として、ぜひご活用ください。
デジタルサイネージ・LEDビジョンの設置工事費用とは?
デジタルサイネージやLEDビジョンの導入において、設置工事費(施工費)は本体価格と同様に考慮すべき費用の一つです。設置工事は単なる「取り付け作業」ではなく、機器を安全かつ安定して長期間運用するために欠かせない工程でもあります。
設置工事費(施工費)は、「設置場所(屋内・屋外)」「設置高さ」「機器のサイズや重量」などによって大きく変動し、数万円から数百万円に及ぶケースもあります。特に屋外サイネージや大型LEDビジョンでは、台風や地震などの自然災害に備えた安全対策や基礎工事が必要となるため、施工費が高額になる傾向があります。設置環境によって必要な工事内容も異なります。そのため、導入前には施工費の内訳を把握し、総予算を検討することが大切です。設置工事費(施工費)には、主に以下のような項目が含まれます。
- 設置工事費
- 機器を壁面、天井、またはスタンドに物理的に固定する費用
- 電気・配線工事費
- 電源の確保、映像出力機器(STBやPC)とディスプレイを繋ぐケーブルの配線・隠蔽処理
- 建築補強工事費
- 壁面の強度が不足している場合に、下地を補強する工事(大型ディスプレイやLEDで特に重要)
- 特殊作業費
- 高所作業車の手配、足場の組み立て、クレーンによる吊り上げ作業など
屋内デジタルサイネージの設置費用
屋内設置は、天候の影響を受けないため屋外に比べて難易度は低めです。一方、空間の美観を損なわないための「配線隠蔽」や、重量に耐える「壁面補強」が重要な施工作業になります。
主に「壁掛け設置」「天吊り設置」「自立スタンド設置」の3つの設置方法があり、それぞれ必要な工事内容が異なります。
1.壁掛け設置費の相場
「壁面設置」は屋内デジタルサイネージで最も一般的な施工方法です。店舗や商業施設、ホテル、オフィスなど幅広い施設で採用されており、限られたスペースでも設置しやすいのが特徴です。また、床面を使用しないため空間を圧迫しにくく、スタイリッシュな演出ができる点も大きなメリットです。案内表示や広告配信、ブランドイメージの向上を目的とした設置方法として広く活用されています。
| 主な工事内容 | 壁面への取付金具固定、下地確認・補強工事、配線の隠蔽(目隠し)処理 |
| 価格相場 | 約3〜15万円前後 |
※石膏ボードの壁にデジタルサイネージを設置する場合、そのままでは本体重量に支えられないケースがあります。そのため、壁の裏側に木板や軽量鉄骨(LGS)による補強工事(下地工事)が必要となり、設置費用が追加で発生します。一方、コンクリート壁や十分な強度を持つ木壁の場合は、補強工事が不要なケースも多く、比較的設置工事費用を抑えられます。
2.天吊り設置費用の相場
「天井吊り下げ設置」は、天井から専用の金具やポールを使用してディスプレイを吊り下げる施工方法です。高い位置に設置できるため視認性に優れており、遠くからでも情報を確認しやすいのが特徴です。飲食店のデジタルメニューボードをはじめ、駅構内や商業施設の案内表示、通路の誘導サインなど、幅広い用途で採用されています。
| 主な工事内容 | 天井固定(アンカー打ち)、落下防止対策(ワイヤー等)、天井裏の配線工事 |
| 価格相場 | 約10〜30万円前後 |
3.自立スタンド設置費用の相場
「自立スタンド設置」は、専用のスタンドにディスプレイを取り付け、床面に設置する施工方法です。移動可能なキャスター付きタイプから固定式タイプまでさまざまな種類があり、設置場所や用途に応じて選択できます。工事が比較的少なく導入しやすいため、店舗の入口や商業施設の案内表示、展示会・イベント会場などで広く採用されています。
| 主な工事内容 | スタンドの組み立て、転倒防止対策(アンカー固定またはウェイト配置)、配線整理 |
| 価格相場 | 約3〜10万円前後 |
屋外デジタルサイネージの設置工事費用
屋外デジタルサイネージの設置では、直射日光や雨風、粉塵などの過酷な環境に耐えられる施工が求められます。防水・防塵対策はもちろん、台風や地震に備えた基礎工事や安全対策も重要になります。さらに、屋外サイネージは多くの人の目に留まりやすいよう、大型ディスプレイを採用するケースが少なくありません。大型機器は重量があるため、搬入や設置の際にクレーン車やパワーゲート車などの特殊車両が必要になることもあります。
このように、屋外デジタルサイネージは屋内設置と比べて施工内容が複雑になりやすく、施工費も高額になる傾向があります。ここからは、設置タイプ別の施工内容と費用相場についてご紹介します。
壁掛タイプ(壁面設置工事費)
屋外の壁面設置は、屋内と同様に外壁や壁面へ屋外デジタルサイネージを取り付ける施工方法です。ロードサイド店舗や商業施設、ビルの外壁などで広く採用されており、多くの通行人や車両へ情報を発信できるため、集客や認知度向上に効果を発揮します。設置場所や本体サイズによっては、高所作業車や壁面補強工事が必要になる場合があり、設置工事費用も高くなります。
| 主な工事内容 | 外壁への強固な固定、防水コーキング処理、配線保護(PF管敷設など) |
| 価格相場 | 約20〜80万円前後 |
自立設置工事費(アンカー固定型)
自立設置は、敷地内の地面に支柱(ポール)を建てたり、筐体を直接地面へ固定したりする施工方法です。駐車場の入口やガソリンスタンド、商業施設、幹線道路沿いなどで広く採用されており、遠方からでも視認しやすいのが特徴です。設置には基礎工事やアンカー固定工事が必要となるため、壁面設置と比較して施工費が高くなる傾向があります。本体サイズが大きい場合は、クレーン車などの特殊車両が必要になるケースもあります。
| 主な工事内容 | 地面の掘削、配管埋設、コンクリート基礎工事、アンカー固定、転倒対策 |
| 価格相場 | 約50〜200万円前後 |
高所作業・足場費用
高所作業車や足場の設置は、ビルの2階以上の高所への設置工事や、大型デジタルサイネージ・LEDビジョンの施工時に必要となる付帯工事です。安全に搬入・設置作業を行うために欠かせない工程であり、設置場所や作業条件によっては施工費に大きく影響する場合があります。
| 主な工事内容 | 建物の外壁中高層部への施工、高所への設置、大型サイネージの揚重 |
| 価格相場 | 約10〜100万円前後 |
LEDビジョン設置工事費用

LEDビジョンは、液晶デジタルサイネージとは異なり、複数のLEDモジュールを組み合わせて大画面を構築する表示設備です。本体重量を支えるための強固な鉄骨下地や専用の架台が必要になるケースが多く、施工内容も複雑になります。LEDモジュール同士の接続や制御機器の設置、電源・信号配線など、専門的な技術を要する作業も発生します。液晶デジタルサイネージと比較して施工工数が増え、施工費も高額になります。
壁面LED設置工事費
壁面LED設置工事は、店舗や商業施設、オフィス、ビル内の壁面にLEDビジョンを設置する施工方法です。複数のLEDモジュールを組み合わせて画面を構築するため、液晶ディスプレイのようなベゼル(枠)がなく、シームレスで迫力のある映像空間を実現できます。サイズを自由に設計できるため、大型映像演出や空間演出を目的とした施設で広く採用されています。
| 主な工事内容 | 鉄骨下地の設計・組み上げ、LEDモジュール設置、制御配線、画面調整(キャリブレーション) |
| 価格相場 | 約50〜300万円前後 |
大型LEDビジョン設置工事費
大型LEDビジョン設置工事は、ビルの屋上や外壁、スタジアム、商業施設などに大型のLEDビジョンを設置する施工方法です。高い視認性と訴求力を持ち、多くの人へ情報を発信できることから、企業や施設の認知度向上、ブランディング、広告媒体として広く活用されています。大型LEDビジョンは本体重量が大きいため、鉄骨架台の製作や補強工事、クレーン車を使用した搬入・設置作業が必要になるケースも多く、施工規模が大きくなる傾向があります。
| 主な工事内容 | 大規模な鉄骨工事、大型クレーン(揚重)作業、高所足場施工 |
| 価格相場 | 約100〜1,000万円以上 |
【工費以外に発生する可能性がある付帯費用】
見積もりを比較する際は、以下の項目が施工費に含まれているか、別途必要なのかを必ず確認しましょう。
- 電気容量増設
大型LEDなど消費電力が大きい場合、施設の既存電気容量では不足し、増設工事が必要になることがあります。 - 通信工事
コンテンツを遠隔で更新・管理するためのネットワーク環境(有線LAN、LTEルーター等)の整備費用。 - CMS設定・コンテンツ調整
配信システムの初期設定や、実際の放映環境に合わせた輝度(明るさ)や色合いの調整作業。 - 保守契約
万が一の故障に備えた定期点検や、オンサイト(現地)対応のメンテナンス費用。
設置費用に関するよくある質問(FAQ)
Q. 現地調査は有料ですか?
A. 現地調査後、そのまま機器導入や施工をご成約いただいた場合は、調査費用は「無料」とさせていただいております。
ただし、万が一ご成約に至らなかった場合は、実費として事前の出張費用(調査費)のみご請求させていただく形となります。詳細な条件などについては、お気軽にお問い合わせください。
Q. 施工期間はどのくらいかかりますか?
A. 屋内の壁掛け・スタンド設置であれば半日〜1日程度で完了します。屋外の基礎工事を伴うサイネージや、大型LEDビジョンの場合は、下地準備から含めて数日〜数週間かかる場合があります。
Q. 少しでも施工費を安く抑える方法はありますか?
A.設置場所を「既存のコンセント(電源)やインターネットルーターの近く」にすることで、電気・配線工事費を大幅に削減できます。また、補強が不要なコンクリート壁などを選ぶのもポイントです。
まとめ
デジタルサイネージやLEDビジョンを導入する際、「本体価格の安さ」だけで製品を選んでしまうケースは少なくありません。しかし、設置環境によっては追加工事が必要となり、想定以上の施工費が発生して予算を大幅に超えてしまうこともあります。導入を検討する際は、本体価格だけでなく、設置工事費(施工費)や運用コストを含めたトータルコストで判断することが重要です。設置場所や用途に適した機器と施工方法を選ぶことで、導入後のトラブルや追加費用を抑えながら、長期間安心して運用することができます。デジタルサイネージやLEDビジョンの導入を成功させるためには、「本体価格」と「施工費」の両方を把握し、総合的に比較・検討することが大切です。
比較的施工費を抑えやすい壁掛けやスタンド形式であれば導入ハードルは低めですが、壁面強度や配線ルートの確認が重要。
安全対策で施工費が上がりやすい基礎工事や高所作業車の手配によって、費用が大きく変動します。
大型化・特殊施工で高額になりやすい鉄骨フレーム製作やクレーン作業、電気容量の増設が伴うため、十分な予算確保が必要。
次回は、「運用・保守編」として、デジタルサイネージ・LEDビジョンの運用費用・保守費用の相場をご紹介します。導入後のランニングコストを検討する際の参考として、ぜひ、引き続きご覧ください。
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