【徹底比較】屋外サイネージの冷却方式 〜ファン・エアコン・自然冷却の特徴と選び方

屋外デジタルサイネージの導入を検討する際、「冷却方式」や「IP等級」という言葉を聞いたことはあっても、それぞれの違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。近年は夏の気温上昇が続いており、屋外デジタルサイネージを取り巻く環境も年々厳しくなっています。長期間安定して運用するためには、冷却方式の違いを理解することが非常に重要です。

今回は、弊社の屋外デジタルサイネージで採用される代表的な3つの冷却方式、「IP55(冷却ファン内蔵)」「IP65(エアコン内蔵)」「IP66(自然冷却)」を比較し、それぞれの特徴や適した設置環境について分かりやすく解説しますので、製品選びの際にぜひご参考ください。

屋外デジタルサイネージの冷却方式とは?

屋外デジタルサイネージは、雨や風、ホコリの侵入を防ぐため、防塵・防水性能を備えた密閉構造で設計されています。一方、密閉された筐体内部は熱が逃げにくく、特に夏場は内部温度が50〜70℃以上まで上昇することがあります。熱に弱い液晶パネルや電源ユニット、電子基板などの部品は、高温状態が続くと表示トラブルや機器故障の原因となります。その結果、製品寿命が短くなる可能性があります。

そこで重要になるのが「冷却方式」です。冷却方式とは、密閉された筐体内部にこもった熱を効率よく下げて、機器を適切な温度に保つための仕組みを指します。屋外デジタルサイネージの性能や耐久性は、この冷却方式によって大きく左右されます。だから、屋外デジタルサイネージには設置環境に応じた冷却システムが欠かせません。

現在、主に「冷却ファン内蔵タイプ」や「エアコン内蔵タイプ」が主流でしたが、近年では「自然冷却方式」を採用する製品も増えています。それぞれ冷却の仕組みが異なりますので、防塵・防水性能、消費電力、メンテナンス性、ランニングコストにも大きな違いがあります。防塵・防水のIP規格だけでなく、設置環境に適した製品を選ぶためにも、冷却方式の違いを理解することも重要です。まず、各冷却方式の特徴を見ていきましょう。

① 冷却ファン内蔵型(IP55)の特徴

冷却方式_ファン内蔵

冷却ファン内蔵型は、換気扇のように外気を取り込み、ファンを回して筐体内部にこもった熱を外へ排出する冷却方式です。屋外デジタルサイネージの中でも比較的採用例が多く、導入コストを抑えやすいのが特徴です。一定の防塵・防水性能(IP55)を備えており、一般的な屋外環境であれば十分に使用できます。一方で、吸気口や排気口を設ける構造のため完全密閉ではなく、長期間使用するとフィルターにホコリや汚れが蓄積する場合があります。そのため、定期的な清掃やメンテナンスが必要です。

冷却ファン内蔵型は、比較的粉塵や塩害の少ない屋外の設置に適しています。商業施設の入口、店舗前の歩道沿い、ホテルやオフィスビルのエントランス、また、アーケード街や屋根のある半屋外空間など、一般的な屋外環境でコストを抑えながら運用したい場合におすすめです。

IP55_冷却ファン内蔵自立サイネージ

IP55_冷却ファン内蔵自立サイネージ

② エアコン内蔵型(IP65)の特徴

冷却方式_エアコン内蔵型

エアコン内蔵型は、デジタルサイネージの内部に小型のエアコン(空調設備)を搭載し、筐体内部を設定温度に保ちながら冷却する方式です。冷却性能が高く、真夏の直射日光が長時間当たる環境でも安定した運用が可能です。高い防塵・防水性能(IP65)を備えており、砂埃や雨水の侵入を防ぎながら内部温度を効率よく管理できます。温度変化の大きい屋外環境でも安定した稼働が期待できます。一方で、エアコンユニットを搭載するため、本体重量が増加しやすく、消費電力や導入コスト、設置費用も高くなります。また、エアコンの定期点検やメンテナンスも必要になります。

エアコン内蔵型は、高温環境や直射日光の影響を受けやすい場所での設置に適しています。公園広場やバスターミナル、ロードサイドの大型看板、商業施設の屋外広場、直射日光が強く当たる場所など、冷却性能を重視したい屋外環境での設置におすすめです。

IP65_屋外エアコン内蔵自立デジタルサイネージ

IP65_屋外エアコン内蔵自立デジタルサイネージ

③ 自然冷却・密閉型(IP66)の特徴

冷却方式_冷却ファン内蔵型

自然冷却型は、内部機器から発生する熱を、熱伝導性の高い筐体や背面の放熱板を通じて外部へ逃がす冷却方式です。さらに、補助用の小型ファン内蔵して、筐体内部の空気を循環させることで、放熱板への熱伝達を促進し、内部にこもった熱を効率よく排出します。高い防塵・防水性能(IP66)を備えてるうえ、筐体を完全密閉に近い構造でできてますので、砂埃や雨水の侵入リスクを大幅に低減します。また、吸気口や排気口がないため、フィルター清掃などのメンテナンス負担を軽減できる点も特徴です。しかも、エアコンを使用しないため消費電力を抑えやすく、ランニングコストの削減にもつながります。

自然冷却型は、防塵・防水性能やメンテナンス性、省エネ性を重視する屋外環境に適しています。海沿いなど塩害の影響を受けやすい場所、工場周辺や粉塵が発生しやすい場所、メンテナンス作業が難しい高所設置などでの設置におすすめです。

IP66_自然冷却屋外自立デジタルサイネージ

IP66_自然冷却屋外自立デジタルサイネージ

【仕様比較】屋外サイネージの3つの冷却方式の違い

冷却方式によって、冷却性能だけでなく、防塵・防水性能やメンテナンス性も大きく違います。以下の比較表から見てみます。

三つの冷却方式の比較表
比較項目 冷却ファン内蔵型 エアコン内蔵型 自然冷却型
IP規格(防塵・防水) IP55 IP65 IP66
冷却の仕組み 小型ファン搭載、内部の熱い空気を外へ排出する 小型エアコンを搭載し、内部の空気を設定温度まで直接冷やす 熱伝導率の高い筐体や背面の放熱板を通じて空気中に逃がす
※補助用ファンもあり
メンテナンス 定期的なフィルター清掃、交換が必要 不定期的にフィルター清掃、長期的には冷媒ガスの補充・点検が必要 不要
メリット ・比較的明るい画面
・導入コストや消費電力少ない
・筐体は完全防水仕様
・収納スペースが広い、大型機器の収納にも対応可能
・内部を一定温度に保つことができます。
・24時間安定してフル稼働
・筐体は完全防水仕様
・収納スペースが広い、大型機器の収納にも対応可能です
・完全密閉、メンテナンス不要
・塩害地域や砂埃の多い場所でも設置可能、
・電気代が安く、故障リスクが低い
・動作音が静か
デメリット メンテナンスの手間がかかる ・消費電力が大きく、ランニングコストが高い
・システムが複雑で筐体と全体の重さは大きい
・筐体の防水が弱い(モニターが完全防水)
・収納スペースが小さい。

【コスト比較】屋外サイネージの設置費用・維持費の違う?

屋外サイネージ選びでよくある失敗の一つが、実際の設置環境を十分に考慮せず、「なんとなくのイメージ」だけで機器を選んでしまうことです。「屋外だから頑丈そうなものを選べば安心」「よく見かける一般的な製品だから問題ない」と考えがちです。しかし、設置環境に適さない製品を選んでしまうと、必要以上に高額な設置工事が発生したり、毎月の電気代やメンテナンス費用が増えたりする場合があります。冷却方式の違いによって、本体重量や消費電力、メンテナンス頻度が変わるため、「設置費用」「電気代」「維持費(ランニングコスト)」にも大きな差が生まれます。

屋外サイネージでよく採用される55インチ縦型モデルを例に、「IP55(冷却ファン内蔵型)」「IP65(エアコン内蔵型)」「IP66(自然冷却型)」の3方式を比較し、導入時の搬入・設置費用、運用時の消費電力とメンテナンス三つの方面から、具体的なコストの違いを見てみましょう。

比較①:重量による「搬入・設置コスト」の違い

屋外サイネージでは、本体重量によって搬入・設置費用に大きく影響します。

【費用の目安】

  • ユニック車(2t~4t):約60,000円前後
  • アンカー固定工事:約200,000円前後
  • 搬入作業員:約30,000円/人

IP65(エアコン内蔵型)の場合、55インチクラスでも筐体を含めた総重量が約200kgに達することがあります。これほどの重量になると、人力だけでの搬入・設置は難しく、ユニック車やクレーン車などの特殊車両が必要になるケースも少なくありません。また、安全に設置するためには、地面へボルトで固定するアンカー工事や強固な架台工事が必要になる場合があります。さらに、搬入・設置に必要な作業人数も増えるため、設置工事費だけで30万~40万円前後になることもあります。

一方、IP55(冷却ファン内蔵型)は約100kg程度で、エアコン内蔵型と比較すると搬入や設置の負担を抑えやすいです。さらに、IP66(自然冷却型)は筐体を含めても約70kg程度です。エアコンユニットを搭載しないため本体重量を大幅に抑えることができ、搬入や設置作業を効率的に行うことができます。大がかりな重機や基礎工事を必要としないケースも多く、施工費も抑えられます。

このように、同じ55インチの屋外サイネージであっても、冷却方式によって重量は大きく異なります。その結果、搬入方法や必要な工事内容が変わり、設置コストにも大きな差が生まれるのです。

比較②:消費電力による「電気代(ランニングコスト)」の違い

屋外サイネージは長時間稼働することが多いため、電気代はランニングコストを考える重要なポイントです。電気料金は、以下の計算式で求めることができます。

【消費電力 × 1日の使用時間 × 使用日数 × 1kWh単価】
(※1kWh=30円、1日12時間稼働で計算)

この計算式から分かるように、電気料金は主に「消費電力」と「使用時間」によって決まります。特に消費電力は、ディスプレイのサイズや輝度、冷却方式によって大きく異なります。電力量料金単価は契約している電力会社や料金プランによって変動しますが、ここでは30円/kWh前後として計算します。では実際に、飲食店や店舗でよく利用される屋外サイネージを想定し、冷却方式ごとの電気料金の違いを見てみましょう。

比較項目 IP66
自然冷却型 / 約234W
IP55
冷却ファン内蔵型 / 約400W
IP65
エアコン型 / 約780W
年間の電気代 約30,000円 約53,000円 約118,000円
5年間の電気代 約150,000円 約265,000円 約590,000円
IP66との差額 基準として 年間:+23,000円
5年間:+115,000円
年間:+88,000円
5年間:+440,000円

※電気料金は以下のサイトで簡単に試算できますので、参考にしてみてください。

比較③:定期的な「メンテナンス費用」の違い

屋外サイネージは長期間安定して運用するために、定期的なメンテナンスが欠かせません。IP65(エアコン内蔵型)は、外気を取り込みながら冷却を行うため、定期的なフィルター清掃や交換、エアコンのガス点検、内部清掃などが必要になります。これらを保守業者へ依頼する場合、年間5万~10万円程度のメンテナンス費用が発生するケースもあります。同様に、IP55(冷却ファン内蔵型)も定期的なフィルターの交換が欠かせません。一般的には年1回程度の交換が推奨されており、フィルター1枚あたり約10,000円前後の費用がかかります。一方、IP66(自然冷却型)は、外気を取り込まない完全密閉構造に近いため、ホコリや汚れが内部へ侵入しにくく、フィルター交換も不要です。定期的な内部メンテナンスが不要です。

このように、導入時の価格だけでなく、長期運用時の保守費用まで含めて比較すると、冷却方式によるコスト差は大きくなっていきます。

IP66

自然冷却型 / 約70kg
初期・設置費用の目安
設置工事等:約0円
年間の維持費目安
電気代:約30,000円
保守・メンテ:約0円
5年トータルコスト
約150,000円〜
最も低コスト(基準)

IP55

冷却ファン内蔵型 / 約100kg
初期・設置費用の目安
設置工事等:約0円
年間の維持費目安
電気代:約53,000円
保守・メンテ:約10,000円
5年トータルコスト
約315,000円〜
【IP66との5年差額】
+約21.5万円

IP65

エアコン内蔵型 / 約200kg
初期・設置費用の目安
設置工事等:約30〜40万円
年間の維持費目安
電気代:約118,000円
保守・メンテ:約50,000円
5年トータルコスト
約1,140,000円〜
【IP66との5年差額】
+約89万円

結論:5年間のトータルコスト(TCO)では約99万円の差に!

以上をまとめると、本体価格を除いた「設置費+5年間の維持費」だけでも、エアコン型(IP65)と自然冷却型(IP66)では、およそ100万円近くのコスト差が生まれる計算になります。

※本シミュレーションは弊社が一般的な設置条件を想定して算出した参考値です。実際の費用は、設置場所や運用環境、施工内容によって異なりますので、詳細は個別のお見積りをご確認ください。

よくある質問(FAQ)

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Q. IP等級と冷却方式は同じ意味ですか?


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A.いいえ、同じ意味ではないです。

IP等級は、防塵・防水性能を示す規格であり、冷却方式とは異なります。冷却方式は、機器内部の温度を適切に管理するための仕組みを指します。弊社の製品では、IP55は「冷却ファン内蔵型」、IP65は「エアコン内蔵型」、IP66は「自然冷却型」のラインナップとなっています。ただし、これは弊社製品における仕様であり、メーカーによって採用されている冷却方式が異なります。

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Q. IP66(自然冷却型)の筐体の中に収納スペースがありますか?


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A. はい、収納スペースがあります。

IP66(自然冷却型)は、エアコンユニットを搭載しないため軽量で設置しやすいというメリットがあります。一方で、高い防塵・防水性能を実現するために筐体内部の構造が最適化されており、製品の内部収納スペースが限られてます。STB(セットトップボックス)や小型PC、ルーターなどの周辺機器を筐体内に収納する場合は、事前に収納機器のサイズを確認することをおすすめします。

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Q. 自然冷却型(IP66)は本当にメンテナンス不要ですか?


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A.はい、基本的に特別なメンテナンスは必要ありません。ファン内蔵型やエアコン内蔵型のようなフィルター交換やエアコン点検などの保守作業が不要ですが、長期間安定して運用するためには、定期的な外観点検や表示状態の確認を行うことをおすすめします。


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