子どもの周りの様々な体験をテクノロジーでアップデートしたい

遊びや教育、知育、コミュニケーションなど、子どもたちの周辺環境をデジタルテクノロジーで豊かにアップデートすることで、子どもたちとの関わり方を創造することをめざす株式会社BUTTONさま。
今回は、子ども向けコンテンツ事業に特化した会社を設立したきっかけ、さらにはデジタル表現やデジタルサイネージの可能性などについて、代表取締役の浦谷和生さまにお話をうかがいました。

デジタルテクノロジーで、子どもやママの精神的&肉体的負担を軽くしたい

—BUTTONさまの業務内容について簡単にお教えください。
浦谷:BUTTONは子ども向けのアプリやコンテンツ、リアル空間でのデジタル施策などについて、企画からプロダクトやWeb、アプリ、コンテンツなどの制作まで、一気通貫でお手伝いさせていただいています。子ども向けだけではなく、子育てのような子どもを取り巻く周辺環境をデザインする視点の取り組みにも積極的に携わります。

—子どもをターゲットの中心とする事業に特化するきっかけがあったのでしょうか。
浦谷:一番大きかったのは、自分が父親になったことですね。BUTTONの代表になるまでは、企業のデジタルプロモーション施策や広告用Webサイトなどを制作していました。
 
株式会社BUTTON
子どもが生まれ、子育てに関わっていく中で、今まで当たり前のように認識していた子育てにまつわる様々な事に対して、親として多大な悩みや苦労があるんだということを実感しました。また、子どもと触れ合って遊ぶ中でも「こんな事を面白いと感じているんだな」とか「もっとこうすれば面白くなるんじゃないか」といった視点がうまれてきたんです。
仕事柄、テクノロジーを使った施策を考える事が多かった事もあり、うまくテクノロジーを活用すれば、子育てや子どもの成長により良く作用する体験をアップデートしたり、新たに創出できるのではないかと考えるようになったんです。それを具現化する場としてBUTTONが生まれました。

—例えば、お母さんが子どもにスマートフォンで遊ばせておく間に家事をすることを良しとしないなど、特に子育てというジャンルは新しいものを受け入れづらい傾向があるように思います。
浦谷:スマートフォンも子育てへの利用という観点からみると新しいテクノロジーのひとつなので、そういった風潮もあるような気はします。しかし実際には、スマートフォンをうまく使って子育てに活かしているお母さんがかなり多いのも事実。何でも昔ながらの方法を正解としてしまうと、時代は進化しているのに子育て体験だけがアップデートされなくなります。テクノロジーに携わる人間として、そういった世界にはなってほしくないという想いはありますね。
株式会社BUTTONそれでも、料理を作る時に子どもにスマートフォンを渡して遊ばせておくことに罪悪感を感じるお母さんがいるかもしれません。
しかし、離れて過ごしたあとで母と子が離れていた時間分のコミュニケーションを補完できる何かがあればどうでしょうか。例えば、お母さんの料理が終わって、子どもとコミュニケーションがとれるようになったタイミングで、お母さんが採点して丸を付けてあげるような機能があればコミュニケーションが生まれますし、お母さんも離れていた間の子どもの遊びの成果を知ることができます。
しかも、子どもはお母さんに褒めてもらえます。結果的に、子どもが一人で過ごしていた時間をポジティブなものに変えることができるのではないかと思います。こういう部分は私たちのようなコンテンツの作り手が考えられる部分です。
何でも新しいモノが良いというわけでもありません。ただ、色々な方法やツールを提案して良いモノが残っていく、そのきっかけを提供していきたいですね。

デジタルサイネージには大きな可能性がある

—子どもをターゲットとするデジタル表現に携わる立場からご覧になって、デジタルサイネージはどのように映りますか。
浦谷:当社では、まだ駅にあるようなデジタルサイネージのコンテンツを制作したことはないのですが、ハードの進化は今後も続いていくと思います。さらなる高解像度化、3D表現、センシング技術との組み合わせなどですね。ただ、そうしたハードの進化は、最初こそ驚きを持って迎えられますが、徐々に一般化して、いずれ優位性は無くなってしまいます。

—大切な部分はハードではないということですね。
浦谷:そうですね。ハードの進化以上に作り手として「その場所である必然性」や「商品や伝えたい内容をいかに受け手に価値あるものとして提供できるか」など、作る意味や文脈、それを表現するアイデアをもっと考える必要があると思います。公共の場所に設置されるデジタルサイネージには、ただの広告ツールと考えるにはもったいないほどの大きな可能性があると思います。
kytell(カイテル)パブリック空間にあるデジタルサイネージを含めた広告全般の情報は受け手が望まずとも目に飛び込んでくるため、新たな視点や気づきを提供できる媒体になれる可能性があります。もちろん受け手や環境に対する十分な配慮は必要となりますが、新たな発見や、気づきを提供することができる可能性も秘めているのではないかと思います。
例えばセンサーなどと組み合わせることで、子どもたちに公共の場で無勝手に走り回らないよう自然と行動を抑制したり、気づかせたりもできそうじゃないですか。そんな目線でコンテンツを作っていけば、デジタルサイネージで世の中を豊かにしていける。サイネージもあくまで道具ですから、使う人の使い方次第だと思います。

—なるほど。作り手の思考が問われますね。
浦谷:今は動画や静止画を表示するだけに留まっているものが多い印象ですが、楽しさや注目度を上げるような『仕掛け』がポイントになっていくのではないかなと思っています。
人が外に出歩く限り、サイネージのような屋外広告は、なくなることはないでしょうし、BUTTONとしても、子どもや親子へのコミュニケーションとして、デジタルサイネージを活用したコンテンツ制作にはいつかチャレンジしてみたいですね。色々と面白いアイデアが出そうな気がします。

株式会社BUTTON株式会社BUTTON BUTTON INC.
http://btn-inc.jp

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