中国・深センのサイネージ事情 〜街を彩るLEDサイネージ〜

“中国のシリコンバレー”とも呼ばれる中国・深センに行ってきました。いまや東京の人口を超える巨大都市となった深センにはアリババやテンセントをはじめとするIT企業がひしめきあい、千を超えるLEDや液晶ディスプレイのメーカーが存在します。そんな深センの街で、デジタルサイネージはどのように使われているのでしょうか。短い滞在の中でしたが、現地で見た深センのサイネージ事情を写真・動画でレポートします。

ショッピングモールのデジタルサイネージ

深センの人口はおよそ1400万人。そのうち65歳以上は2%しかいないという、若者が圧倒的に多い街です。そんな深センのビジネス街の中心が福田区。香港からのアクセスも良く、銀行やホテルが立ち並ぶ活気あふれるエリアです。この福田区にある大きなショッピングモールに行ってみました。

皇庭広場

まずは皇庭広場。中に入るとアリババ直営のスーパーマーケット「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」をはじめ、多くの飲食店や雑貨、アパレルショップが立ち並んでいます。ショッピングモールの入口にはプロジェクターによるデジタルサイネージがありました。

プロジェクターサイネージ 深セン

ショッピングモール入口のプロジェクターサイネージ。プロモーション動画が流れていた。

ショッピングモールの中を歩いてみます。まず目につくのがいたるところにあるLEDのデジタルサイネージです。主にテナント店舗のプロモーション動画が再生されており、空間演出・アイキャッチとしての役割を果たしています。近づいて見るとピッチは2.5〜3mmと思われるサイズで、屋内設置には最適なスペック。ディスプレイのサイズは場所によってバラつきはありますが、どれも歩行者の身長よりも大きく、開放的な造りのモール内で遠くからでも目を惹きます。

皇庭広場LEDサイネージ

テナントの横にはLEDビジョンが設置され、プロモーション動画が流れていた。

一方、店内についてもほとんどのテナントでデジタルサイネージが設置されていました。店内に関して言えばLEDよりも液晶ビジョンが多い印象です。店頭には遠くからの視認性が高いLEDを、至近距離から見られる店内では解像度で優れる液晶を設置するという使い分けがなされています。プロモーション動画のほかにキャンペーン告知なども流れていました。

皇庭広場のサイネージ

店内では商品のプロモーションにデジタルサイネージが活用されている。手前はLED、写真奥には液晶マルチディスプレイが見える。

皇庭広場のサイネージ

店内のデジタルサイネージは液晶マルチディスプレイが多かった。

LINK CITY

LINK CITYは3つの地下鉄駅を結ぶ地下ショッピングモールです。こちらも多くの人で賑わっており、皇庭広場と比べるとファミリー層が多いようです。

LINK CITY

地下ショッピングモール「LINK CITY」。3つの地下鉄駅を繋いでおり、人通りが多い。

深セン LINK CITY

「LINK CITY」周辺のモールにもつながっている。人気アパレルブランドのテナントが立ち並ぶ。

「LINK CITY」や直結するショッピングモール内にも大型のLEDビジョンが随所に設置されています。ここでもやはり、キャンペーンなどの告知目的というよりアイキャッチやブランドイメージの演出といった目的に使用されています。
 

LEDディスプレイ 深セン

壁の一面を大きく使ったLEDビジョンも少なくない。

ショッピングモールの中心には広場があり、ステージ上には大きなLEDビジョンが設置されていました。イベント用でしょうか。ピッチは1mm台と思われ、かなり高精細で迫力があります。LEDビジョンの前では子どもたちが駆け回って遊んでいました。
 

デジタルサイネージを利用した飲食店のオーダーシステム

飲食店ではデジタルサイネージでオーダーするシステムを見かけました。注文と支払いをユーザーがサイネージを操作するだけで完結し、あとはカウンターで商品を受けとるだけという仕組みです。深センは電子マネーでの決済が主流なので支払いもスマホタッチでOK、とてもスムーズに注文〜支払いが完了します。現地の住民はすっかりこのシステムがおなじみになっている様子で、スタッフの負担軽減にもつながっているようです。ただ、店舗によっては中国語・英語以外の言語に対応していない機器もあり、このシステムがまだ普及していない国からやって来た観光客にとってははじめはハードルが高いかもしれません。UIはシンプルで、使いやすさは良好でした。

デジタルサイネージでオーダー

カンタンな操作でオーダーから決済まで可能。

高層ビルにLEDマッピング

中国4大都市のひとつである深センは、日本にはないような高層ビルが立ち並んでいます。そして夜になると驚くべき光景が目の前に現れました。動画をご覧ください。
 


これは中国の改革開放40周年を記念して2018年10月にスタートしたイルミネーションイベントで、金曜・土曜・中国の祝日の夜になると福田区中心エリア高層ビルが光り輝く圧巻の光景を楽しめます。それぞれのビルにはカーテン状の特殊なLEDが設置されており、周辺すべてのビルと連動した映像が流れます。施工費はおよそ30億円とも言われる大規模なプロジェクト、行政と企業が一丸となって実現したとのこと。まさに「街そのものがコンテンツ」と言える美しさです。

まとめ

今回はじめて中国・深センの街を歩いて、「デジタルサイネージが街の生活に溶け込んでいる」という印象を感じました。ディスプレイ性能やIT技術が向上し、デジタルサイネージはますます日常生活の中で身近なものになってきています。海外に来て街を歩くと、日本では気づけない視点が発見できとても有意義な滞在でした。
帰国前に香港にも立ち寄りましたので、次回は香港のサイネージ事情をご紹介したいと思います。

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