日本最大のデジタルサイネージイベント「デジタルサイネージジャパン2019」が今年も開催されました。国内メーカーはもちろん、海外からの出展企業も増えており、日本のデジタルサイネージ市場が急成長していることを体感できました。今回は足を運べなかった方のために、会場の様子をピックアップレポートしていきます。
デジタルサイネージジャパン(DSJ)とは
近年急成長を続けているデジタルサイネージ市場ですが、「デジタルサイネージジャパン」はその最先端を体験できるビッグイベントです。国内外のメーカーの最新技術が集結し、デジタルサイネージの新たな活用方法と可能性が生まれるイベントとして年々その規模を拡大しています。2009年に初開催され、10回目の節目となった今年は過去最大となる15万人を超えの動員を記録しました。例年6月に3日間の日程で開催されます。
現地レポート
会場は幕張メッセ。心地よい晴天の空の下、全国から続々とビジネスマンが集まってきます。事前にDSJ公式サイトから入場登録をすれば入場料は無料です。会場は独特の熱気に包まれており、国内外・大小様々のメーカーが最新技術をPRしています。
SHARP 8K液晶ビジョン
展示会場に入ってまず目に飛び込んできたのが、ニュースや家電量販店でも目にする機会が増えてきた「8K液晶ビジョン」。ご存知SHARPが70インチ×16面マルチディスプレイによる8Kビジョンを展示していました。迫力満点の8Kビジョンがこちら。
高精細で鮮やかな映像は見事です。このほか近い将来整備されるであろう5Gを利用した8K映像のリアルタイム伝達実証実験もありました。8Kとなると映像を通信するだけでも莫大なデータ容量となりますが、5Gが実用化されればスムーズな映像伝達が可能になっていくでしょう。数年後にはスタンダードになっているであろう映像技術を垣間見ることができました。
BOEジャパン 8K液晶ビジョン
同じく大画面の8Kマルチディスプレイで目を引いたのがBOEジャパン。ブースデザインも洗練されており、ブランドの世界観を演出していました。
SONY 超高精細LEDディスプレイ
そして今回のDSJで最も衝撃を受けたのがこちら。SONYの超高精細LEDディスプレイ「Crystal LED ディスプレイ」です。LEDの常識をくつがえすほどの超精密な映像美は圧巻の迫力。ブースを訪れた人全員が感嘆していました。
LEDディスプレイはRGBを1画素とする小さな光源の集合体で、それぞれの光源が光ることで映像を映し出します。イメージとしては「ドット画」のようなもので、液晶ディスプレイに比べると解像度が低くなってしまいます。しかしこの「Crystal LED」の光源サイズはなんと0.003m㎡!信じられないほど小さなLEDを搭載するにより、液晶にも劣らない超高画質を実現しているのです。そこに高輝度・高コントラストというLEDならではのメリットが合わさり、もはやリアルと見紛うレベルのリアリティです。
アイキャッチ効果抜群!3Dデジタルサイネージ
こちらは浮遊する3D映像を実現した株式会社Life is Styleの「3D Phantom(3Dファントム)」。JR品川駅でも実証実験がおこなわれており、見たことがある方も多いかもしれません。ゴーグルなしの肉眼で3D映像を体験できる近未来的な映像技術です。
LED光源を埋め込んだブレード状のプロペラを高速回転させ、残像により浮かび上がるような映像を表示します。コンテンツの配信・管理も専用アプリでカンタンとのこと。そしてなんと言っても3D映像というインパクト・話題性です。店頭でのアイキャッチや展示会でのプロモーションなどで大きな効果を発揮するでしょう。
電子ペーパーデジタルサイネージ
8Kや高精細LEDのような注目を集める派手さはありませんが、電子ペーパーのデジタルサイネージは興味深いものでした。電子ペーパーはAmazon Kindleに代表される電子書籍リーダーに使われており、実際に見たことがある方も多いでしょう。電子ペーパー最大のメリットはバックライトなしで映像を映し出せることで、一度コンテンツを表示してしまえば電源供給がなくなっても消えません。そのため停電を伴う災害発生時の非常案内などへの活用も期待できます。
今回のDSJで株式会社CREAが出展した電子ペーパーサイネージは、USBやSDによるスタンドアローン運用はもちろん、HDMIやLAN接続にも対応しネットワーク配信も可能となっています。従来の電子ペーパー機器にはこれらのインターフェースがありませんでしたが、この製品をきっかけに電子ペーパーサイネージの可能性が一気に広がるかもしれません。
まとめ
DSJ2019では大手メーカーを中心に高画質で精細なディスプレイ機器が注目を集めると同時に、3Dや電子ペーパーなどユニークな展示も多く見られました。いずれの技術にも一長一短はありますが、それぞれのメリットを最大限に活かせるシーンを見つけていくことがこれからサイネージ市場の発展、そして社会が抱える問題の解決につながっていくでしょう。この記事では主にハード面に焦点をあてて紹介しましたが、このほかにも「こんな使い方があるのか!」という発見もありました。DSJで見かけたサイネージの新たな活用事例については近日中に記事にまとめていきたいと思います。