毎年6月開催される「デジタルサイネージジャパン(以下、DSJ)」は国内最大のサイネージの展示会です。
過去最高の動員を記録したDSJ2019も、国内外のメーカーが最新技術や製品を展示する刺激的なイベントになりました。
今回は、DSJ2019のブースを見て感じたインテリア・空間演出としてのデジタルサイネージの可能性をレポートします。
空間演出としてのデジタルサイネージ
デジタルサイネージで“窓”をつくる
こちらはBOEジャパンのブースで展示されていた、デジタルサイネージを窓に見立てた活用例。
同社のIoT映像配信システム「Viewtopia(ビュートピア)」は、美しい画像や映像コンテンツをクラウド経由で配信することができ、窓のないオフィスや地下室などの空間演出などに活用できそうです。
専用アプリを使うことでスマホからコンテンツ管理ができ、自分で撮影したコンテンツをアップロードすることも可能なので自分好みの空間演出を手軽におこなえるのがポイント。
ディスプレイの高画質化によって、実際の風景と比べてもとそこまで違和感を感じません。
4K/8Kビジョン+ベゼルでも雰囲気を演出
こちらはSONYの4K/8K液晶ディスプレイ「ピクチャーウィンドウ」。
さすが臨場感で、まさに目の前に実際の風景が広がっているようです。ディスプレイのベゼル部分を木枠にすることで、下の写真のようなマルチディスプレイでもまるで木枠の窓から風景を眺めているような雰囲気を味わうことができます。
こうした細かい部分の工夫が意外と重要なポイントだったりします。
液晶×プロジェクターのコラボレーション
こちらはパナソニックのブース。
まるで美術館の一角のようですが、写真の額縁の絵はすべて液晶ディスプレイによるサイネージコンテンツ、そして絵画の周りはプロジェクターサイネージによる映像です。
プロジェクター映像は液晶ディスプレイ部分に投影されないように、その部分だけプロジェクター側でマスクして切られています。液晶の直接光とプロジェクターの反射光の見え方の違いにより、液晶ディスプレイに表示された絵画が背景の空間に浮かび上がったように見えます。液晶の絵画が際立つ演出ですね。ちなみにこのパナソニックのブースはDSJ2019のブースアワードグランプリに選ばれています。
スタンドや金具で雰囲気がガラッと変わる
映像機器であるデジタルサイネージはどうしても無機質なイメージがつきまといます。しかし、筐体やスタンドなどを工夫することで雰囲気をガラリと変えることができます。街の景観や店の雰囲気を壊さないことはデジタルサイネージにとって重要なポイント。
まとめ
デジタルサイネージの最大の特徴はインターネット接続が可能な点といえますが、これはインテリア・空間演出という用途でも大きなメリットです。
時間やシーンにあわせて表示するコンテンツを自由に変えられます。映像を流すことで、地下のような閉鎖的な空間でも“窓”を作ることもできます。上で紹介したようにな幻想的な演出も可能になります。
実際、展示会やイベントなどではデジタルサイネージによる空間演出は一般的になってきています。
いくつかのブースを見て回りましたが、こうした空間演習・インテリアとしての活用を提案している企業は多くありました。専用アプリを使ってスマホから手軽にコンテンツ管理ができるものなど、UI/UX面も進化してきています。
「たしかに、これが部屋にあったら良いよね!」と思うユーザーは少なくないでしょう。しかしオフィスや個人宅といった場所で使用することを考えると、現状ではやはり導入コストがネックです。多くの場合、オフィスやホームインテリアにはある程度の気軽さ、手の出しやすさが求められます。近年ハードの価格は次第に下がってきましたが、そういった意味ではデジタルサイネージによるインテリアが普及していくにはもう少し時間がかかりそうです。
しかしIoTが急速に普及している背景もあり、こうした活用方法が身近になっていくのは間違いないでしょう。